コラム

精密・高精度抵抗について

精密・高精度抵抗器とは

電子機器の小型・高機能・高性能化に伴い、電子回路の高精度化を実現するため、抵抗器の高精度化の要求が高まっています。

精密・高精度な抵抗器とは、製造段階でのつくり込みで抵抗値のばらつきが小さく、且つ使用環境などで変動の少ない抵抗器です。これらの抵抗器は、特に高精度な測定や制御が求められる回路で重要な役割を果たします。本コラムでは、精密・高精度抵抗器の特性、用途、および代表的なシリーズについてわかりやすく解説します。

           

Ⅰ.精密・高精度抵抗器の重要な特性          

1.抵抗値許容差

まずは抵抗値許容差について解説します。実際の抵抗器の抵抗値にはバラツキがあります。そこで、製造段階では、トリミング※1などの方法により、公称抵抗値に合わせ込むように調整します。実際に製造された抵抗器の抵抗値が特定の抵抗値に対してどのくらいずれる可能性があるかを%で示すものが抵抗値許容差です。

例えば許容差が±1%の場合、100Ωの抵抗器の抵抗値は、99Ωから101Ωの間に入ります。

抵抗器は市場に広く出回っていますが、その多くは許容差が±5%のものです。

一方、高精度な抵抗器は±0.1%以下の許容差で、超精密級(RNCFシリーズなど)では±0.01%対応も可能となり、公称値に非常に近い抵抗値を提供します。これにより、回路の性能が安定し、正確な動作が保証されます。

※1トリミングとは、抵抗値を正確に調整するため抵抗体に溝を入れる工程。

2. 抵抗温度係数(TCR)

抵抗温度係数は、「抵抗器の温度変化に対して抵抗値がどの程度変化するか」を、温度差1℃あたりの抵抗値変化を百万分率(ppm)で表しています。単位はppm/℃です。

抵抗器のカタログにも出てくるパラメータなのでご存知の方も多いと思います。
英語のTemperature Coefficient of Resistanceの頭文字から”TCR”と呼ぶことが多いです。 

一般的な抵抗器のレンジは10ppm/℃~1000ppm/℃です。
(1~5ppm/℃のような高精度品も存在します。)

下記の図1は25℃を基準としたときに±100ppm/℃の製品がとりうる抵抗値変化範囲を示したものです。
 TCR値が正(+)か負(-)かにより温度変化に対する変化が増加か低下か異なります。



図1 ±100ppm/℃の抵抗値変化範囲

当然ながらTCRは小さい方が部品特性として安定で、信頼性の高い回路設計もできます。
一つの製品シリーズ内で複数のTCRのグレードをラインナップしているものもありますが、
基本的に狭TCRになるほどコストも高いので、バランスを見て選定することをお勧めします。 

3.周波数特性

理想的な抵抗器は抵抗成分のみを持つ状態ですが、実際には抵抗以外の寄生成分を持ちます。両端電極やトリミング溝を挟んだ抵抗体がキャパシタンス、リード線、らせん状の抵抗体や巻線はインダクタンスとなり、簡易的な等価回路図は図2のようになります。また、インピーダンスZは以下の式で表されます。

         

        図2 抵抗器の簡易等価回路

高周波回路や高周波成分を含む電流・電圧波形においてインピーダンスは公称抵抗値からズレることもあるため、回路動作に影響を及ぼす場合があります。
 図3は抵抗器の周波数特性です。特に1MΩ以上ではスイッチング電源などでもスイッチング周波数として利用される100kHz手前からインピーダンスが変化し始めることもあります。また、抵抗値が小さい場合は高周波領域で寄生インダクタンスが支配的となりインピーダンスが高くなり、抵抗値が大きい場合は高周波領域で寄生容量が支配的となりインピーダンスが小さくなります。

回路の高周波化が進むトレンドにおいて無視できないポイントになっていくのではないでしょうか。

        図4 1/4Wリード線形抵抗器の周波数特性(シミュレーション)

4.雑音

一般的に抵抗器のノイズは以下の式で表されます。

   抵抗器のノイズ=熱雑音+電流雑音

熱雑音はサーマルノイズと呼ばれ、ノイズ電圧実効値は次式あらわされ、温度・抵抗値・帯域で決まるため、材質による違いはありません。

電流雑音は、電流が流れることによって発生するノイズで、低周波領域で現れるため、低周波の微小信号を扱うアプリケーション(例:光検出回路や心電計)では、電流雑音が信号対雑音比(S/N比)の劣化の主要因となります。

この電流雑音は、材質や構造に依存します。図4はリード線抵抗器の抵抗皮膜による電流ノイズの違いを示したグラフです。金属皮膜抵抗器は、炭素皮膜抵抗器、酸化金属皮膜抵抗器に比べ電流ノイズが小さくなっていることが分かります。

低周波の微小信号を扱うアプリケーション(例:光検出回路や心電計)では、電流雑音が低い金属皮膜の抵抗器が適しています。

図4:抵抗皮膜による電流雑音の違い(1kΩ)

5.高耐久性

抵抗器は、年月の経過とともにその抵抗値が徐々に変化していくことが知られています。

リード線抵抗器においては、金属皮膜抵抗器が炭素皮膜抵抗器に比べて抵抗値の経時変化が小さいため、高信頼性が求められる回路に適しています。

チップタイプの抵抗器では、薄膜チップ抵抗器が厚膜抵抗器に比べて長期安定性に優れていることが特徴です。

図5は、薄膜チップ抵抗器RNCFシリーズと厚膜チップ抵抗器CRシリーズの抵抗値許容差、TCR(抵抗温度係数)、および耐久性能を比較したグラフです。このグラフからもわかるように、薄膜チップ抵抗器は長期にわたって安定した性能を維持することができます。

長期的な視点で見た場合、薄膜チップ抵抗器や金属皮膜抵抗器のような高信頼性の部品を選ぶことで、回路全体の安定性と性能を向上させることができます。

以上の様に、抵抗器の選定においては、用途や必要とされる信頼性に応じて適切な種類を選ぶことが重要です。

Ⅲ.精密級抵抗器の使用例                        

ここでは代表的な精密・高精度抵抗器の使用例について解説します。

1.増幅回路

オペアンプとは、微小な信号を増幅する回路であり、下図のような非反転増幅回路の増幅率(利得)は2つの抵抗の比によって決まります。したがって、抵抗値の許容差や抵抗温度係数が小さい抵抗器を使用することで、増幅率(利得)を正確に設定できます。

    

 

アプリケーション例:センサーモジュール、計測器、医療機器

推奨製品:RNCF,CRU,RN/RNM,RNS

2.分圧回路

分圧回路は、抵抗を直列に接続し、各抵抗にかかる電圧を分割する回路です。これにより、入力電圧を希望する値に調整できます。抵抗の許容差や温度係数が分圧した電圧に直接影響を与えるので、高精度抵抗器が要求されます。 

    

 

アプリケーション例: 電源回路、電力計測回路、基準電圧発生回路

推奨製品:RNCF,CRU,RN/RNM,RNS

3.抵抗ブリッジ回路

 

センサー(熱電対や測温抵抗体)と組み合わせて使用され、微小な信号を高精度に検出するために用いられます。これにより、正確な測定が可能となります。

                     

 

アプリケーション例:ひずみゲージ、圧力センサー、温度センサー

推奨製品:RNCF,CRU,RN/RNM,RNS

4.電流検出回路

 

シャント抵抗器として使用され、精密な電流測定が求められる場合に使用されます。例えば、精密電源やモータ電流検出などで重要な役割を果たします。

   

アプリケーション例:電源、DC-DCコンバータ、モータ駆動回路、BMS

推奨製品:APS,CSS/CSSH,CSRF,CSR/CSRN,CBR

電流測定に関しての詳細はコラム「電流検出・シャント抵抗の特徴・使い方・トレンド」をご参照ください。

    ⇒こちらからhttps://www.akaneohm.com/column/current_sense/

Ⅶ.精密級抵抗器の紹介                        

精密級抵抗器を紹介します。

[1] 超精密級

   精密薄膜チップ抵抗器 RNCFシリーズ

  https://www.akaneohm.com/products-data/rncf/

[2]精密級

  精密級角型厚膜チップ抵抗器 CRUシリーズ

  https://www.akaneohm.com/products-data/cru/

[3]高電力タイプ

  ⾼電⼒精密薄膜チップ抵抗器 RNTPシリーズ

  https://www.akaneohm.com/products-data/rntp/

[4] 非磁性タイプ

  非磁性厚膜チップ抵抗器 CRNMシリーズ

   https://www.akaneohm.com/products-data/crnm/

[5] 耐電蝕

  耐湿型精密級薄膜チップ抵抗器 RNCS/RNCHシリーズ

   https://www.akaneohm.com/products-data/rncs-rnch/

[6]電流検出

  大電流シャント抵抗器 APSシリーズ

  https://www.akaneohm.com/products-data/aps-j/

 

  超精密電流検出チップ抵抗器 CSS/CSSHシリーズ

  https://www.akaneohm.com/products-data/css/

 

  金属箔電流検出チップ抵抗器 CSRFシリーズ

  https://www.akaneohm.com/products-data/csrf/

[7] リード線型精密級

  金属皮膜固定抵抗器 RN/RNMシリーズ

  https://www.akaneohm.com/products-data/rn/

[8] リード線型超小型金属皮膜

  超小型金属皮膜抵抗器 RNSシリーズ

  https://www.akaneohm.com/products-data/rns/

[9] セメント型電流検出

  電流検出用ブレード抵抗器 CBRシリーズ

  https://www.akaneohm.com/products-data/cbr/

 

注意:本資料は予告なしに変更する場合がございます。

   ご検討に際しては、最新情報をご確認ください。→お問い合わせはこちら

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